信号待ちをしていると 携帯がなった

「沙織の脳がうごいてないって・・・」涙声・・・  なにをいってるんだ!わけのわかんないことを

とにかく急いだ どこをどう走ったのか どうにか病院について 迷路のような廊下を走った

看護婦さんに案内されて ICUに入った 沙織は動いていた 手足を動かしていた

たしかに生きていた

その後の先生の説明は耳を疑うものだった

「原因は心臓です 心室細動をおこして 脳に酸素がいかなかった時間がどのくらいか・・・

脳波が弱い 歩いてこの病院をでられる確率は2%です

病院についてすぐに電気ショックをあたえたら 確かに16才の力強い心臓がもどってきた けど

そのあと また つよい不整脈がでて そのあとに戻った心臓は今までの半分でした」

なんか そんな話だったような・・・ 一生懸命説明している先生の口が動いているのを

ただ 見ているだけだった でも 何故か 2%助かるのか そーなんだ よかった

そんなことを考えてた 

絶対 助かる 助ける いかせない いかせるものか

沙織 許さないからね そんなこと・・・ わかった?

その日から3日間 離れなかった 処置以外は横にいて話しかけた

心臓と肺の動きを助けるために 心肺装置がつけられた

意識がなくても 音は聞こえるといわれ マーチングでがんばった曲を聞かせた

沙織の猫のsakuraの鳴き声をテープにとって聞かせた

クラスの友だちのがんばれという声も聞かせた

がんばれ がんばれと願ったのに・・・

4日目の朝 病室に入った私に先生は「心肺装置からの血の流れがうまくいかないんですよ」

「先生 だったら 流れるようにしてくださいよ」と本当に素直にそういった 

そのあと 主人がちょっとこいというので 廊下にでた

長いすにすわって 何故かしっかり手を握ってきた 

「よく聞け 自発呼吸がなくなったのは知ってる?そして・・・ 心臓も止まった」

なんか おもわず叫び声をあげたような記憶がある いやだといった

「このままだと沙織がかわいそうだ 装置をとめて うちに帰ろう」

かわいそう・・・? かわいそう・・・ その言葉だけが頭に響いた 


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